2021年04月14日 『「腸内細菌」が健康寿命を決める』
近年、「腸活」という言葉をよく耳にするようになりました。腸内環境を整えるということですが、そこでキーワードとしてあげられるのが「腸内細菌」です。今回は、およそ半世紀にわたり腸内細菌の研究をされてきた辨野義己さんの『「腸内細菌」が健康寿命を決める』(インターナショナル新書)を読んでみました。便(ウンチ)の話から腸と脳の関係、腸内細菌のバランス、食生活へのアドバイス、腸内研究の最前線まで、腸にまつわる色々な角度からの内容を、著者自身の研究人生を織り交ぜながら語られています。ご自身のライフストーリーが入ることによって、読み物感覚で楽しめました。第三章では、健康長寿地域へのフィールドワーク(食事と排泄物の分析)の様子と研究結果が語られていますが、「長寿菌」(大便菌・ラクノスピラ・ビフィズス菌)が腸内細菌の40%から60%を占めれば健康長寿が達成されると述べています。その腸内環境は食生活で維持されるといい、食物繊維を多く含んだ野菜をたっぷりと食べることを勧められています。また、新型コロナに対して腸能力で対抗するとして、人間の免疫担当細胞の70%を腸内細菌が操っていることを紹介し、腸内環境を整えることの大切を説いています。腸内細菌の種類は1000種類以上だと推定されていますが、多く見積もってもまだ400種類位しかわかっていないそうです。健康を保ち、病気を予防し、老化を緩めるには腸の働きが重要となってきます。今後の腸内細菌の研究の進展に注目ですね。