2020年06月19日 『私にとっての介護』(岩波書店編集部)
こんにちは。読書だよりです。
『私にとっての介護 生きることの一部として』(岩波書店編集部)を読んでみました。
本書は、俳優・作家・医師・学者・福祉関係者など、各界で活躍する40名が、ご自身の
経験や見聞を踏まえて、介護に関して「これだけは言いたい」ということをまとめて編ま
れたものです。高齢者介護や障害者介護・病後のケアなどに対する、体験記(介護者側・
被介護当事者側)もあれば、問題提起や提言もあり、とても読み応えのある一冊でした。
各著者の言葉をいくつか拾うと、「介護に必要な三つのK。経験とコツ、それに心」(毒蝮
三太夫氏)、「介護労働の部分は軽減されてきたが、介護感情には変わらない部分も多く、
社会通念に苦しんでいる人は今も多い」(沖藤典子氏)、「入院のあいだは、病院側の都合
で患者さんが動かされていることがよくあって、それにとても不満がありました」(bay4k氏)。
様々な視点から話される凝縮された言葉に身が引き締まります。タイトルの「生きることの
一部として」とあるように、誰にとっても「介護」が人生に関わってきます。樋口恵子氏の
言葉をお借りして、「ワーク・ライフ・ケア・バランス。ケアは、私的社会的双方の領域で、
誰もが担う必要がある仕事ではないでしょうか。」生活の中でどのように「介護」を位置づけ
ていくか。この一冊は、その羅針盤の一つになるでしょう。