2020年09月21日 『還暦からの底力』(講談社現代新書)
こんにちは。今回は、出口治明氏の『還暦からの底力 歴史・人・旅に学ぶ生き方』
(講談社現代新書)を読んでみました。出口氏は、現在はAPUの学長をされている
ようですが(2020年時点)、ライフネット生命の創業者という顔でよく知られた方
だと思います。「還暦」というタイトルは付いていますが、年齢はとくに関係なく、
どの世代の方が読まれても響いてくる言葉はあると思います。要点は、「数字・ファ
クト・ロジック」をもとに思考し、「人・本・旅」で人生を豊かにしていこうという
こと。人生は楽しんでなんぼであり、そのためには生涯学び続ける必要があります。
人生100年時代と考えると、60歳は折り返し地点。20歳までを子どもと考えると、
40年経過した60歳は人生のちょうど真ん中。定年制に毒されることなく、働き続け、
学び続けようと、本書で何度となく語られます。出口氏は、これからは、「オール・
サポーティング・オール」(年齢に関係なくみんなが能力と意欲・体力に応じて働き、
本当に困っている人を支援する)の考え方でいかなければならないといいます。日本
社会の若者が高齢者の面倒を見るという視点は、高度成長期かつ人口急増期の特殊な
時代の仕組みが前提となっていると指摘します。本書の前半で語られる現代社会(日本
の高齢社会)への視点については興味深いものがありました。
「皆さんが一番若いのはいまこの時です。明日になったらまた1日、年を取ってしま
います。」思い立った時にどう行動を起こすか。高齢社会の将来は暗いイメージで語
られることが多いですが、年齢という縛りを解放すると新しい見方が生まれることを
学んだ一冊でした。